親の介護を考えはじめたとき、頭をよぎるのが「兄弟姉妹との分担、どうする?」という問題。
「うちはまだ先の話…」と思っていても、ある日突然、その“時”はやってきます。
介護のことをきっかけに、家族の関係がギクシャクしてしまうのは、できるだけ避けたいですよね。
この記事では、介護の準備段階から兄弟姉妹と無理なく、もめずに分担を進めるための話し方を3つに分けてご紹介します。
兄弟姉妹との介護分担どうする?トラブルを防ぐ3つの話し方

介護をめぐる家族トラブルはしんどいですよね。私も3人兄弟なので不安を解消しておきたい1人です。多くは、「話すタイミングが遅かった」「話し方が強引すぎた」「誰か1人に負担が偏った」ことが原因です。
でも逆に言えば、早めに・やさしく・分かりやすく話すことで、多くの誤解やすれ違いは防げます。
特に40代は、仕事や子育て、自分の体力の変化など日常が多忙である一方、親の体の衰えが少しずつ目に見えてくる年代でもあります。今だからこそ、兄弟姉妹と「自分たちのこれから」をゆっくり話し合っておくチャンスなのです。
「まだ早い」と思っていたその会話が、のちのち大きな安心材料になるかもしれません。何事も早め早めが一番大切なことですよね。
なぜ「分担の話し合い」が難しいのか?
兄弟姉妹で育ってきた家庭でも、大人になればそれぞれの環境がまったく違います。
- 地元に住んでいるか、離れて暮らしているか
- 結婚しているか、独身か
- 子育て中か、キャリアに集中しているか
- 経済状況に余裕があるか、カツカツか
- 親との関係が近いか、距離をとってきたか
これらの条件が異なるだけで、「介護の負担をどう分けるか」は非常に繊細な問題になります。
たとえば、親と同居している長女が「私ばかりが介護を任されている」と感じる一方、 遠方に住んでいる弟は「口を出すけど手は出さない」と見られてしまう…というのはよくある話。
また、家族間の感情のしこりが表面化するのもこのタイミングです。
過去のわだかまりや、親に対する温度感の違いが、介護という現実の場面で一気にあふれ出すケースも。
だからこそ、話し方・タイミング・言葉選びがとても大切になってくるのです。
トラブルを防ぐ!3つの話し方の工夫
① 「今すぐじゃなく、将来に備えて」…“前置き”をやさしく伝える
介護の話をするうえでいちばんの壁は、「急にそんな話されても困る」という相手の反応です。
だからこそ、話すときは「今すぐ介護が始まるわけじゃないけど」という前置きをしっかり入れるのがポイントです。
📘 たとえば:
「最近、親も年を取ってきたなって感じるんだけど、いざというときに慌てたくないなって思ってて。だから、今のうちから少しずつ準備できたらいいかなと思ってるんだ」
このように伝えることで、相手も「これは相談なんだな」「押しつけじゃないんだ」と受け入れやすくなります。
さらに、兄弟姉妹との距離が空いている場合はLINEやメールで「ちょっと相談があるんだけど」と前振りしておくのも有効です。
② 「あなたにもできること」を提案形式で伝える
「手伝ってほしい」とだけ言ってしまうと、相手は「何を?どれくらい?」と戸惑ったり、構えたりしてしまいます。
ここで大切なのが、「あなたにはこれをお願いしたい」と具体的に提案する形で伝えること。
「私は平日は動けるけど、書類とか制度のことは苦手で…〇〇がそういうの得意そうだから、もし調べたり連絡したりってことがあればお願いしたいな」
人は「任される内容がはっきりしている」と受け入れやすくなります。逆に、「なんでもいいから手伝って」では負担感しか残りません。
話し方って本当に大切ですよね。話し方次第で不快になり協力してくれなくなる場合もありますし、話し方次第で快く受け入れてくれることもありますよね。
💡 一緒に使えるグッズやツール:
- 家族内で共有できる連絡ノート
- 介護の希望や連絡先を記録できるエンディングノート
これらを活用すると、「じゃあ、これ見ながら分担決めようか」と自然に話を進めやすくなります。
③ 「1人で全部やらないよ」という前提を共有する
介護の話を切り出すと、相手に「結局あなたがやるんでしょ?」と思われがち。 また、逆に「やるって言ったのに、全部押し付けられてる…」と感じることもあります。②でお伝えした 「あなたにもできること」を提案形式で伝える
だからこそ、「私はこう思ってる。でも、1人で抱えるつもりはないよ」という姿勢を伝えておくことが大切です。
📘 例文:
「自分だけじゃ心配だし、みんなと一緒に相談できたら嬉しい。できることを、それぞれ無理なく分けられたらと思ってる」
このような“協力関係”を前提にした話し方をすることで、相手も「自分ごと」として受け止めやすくなります。
感情を伝えることも時には大切です。
「正直、いっぱいいっぱいで…もし一緒に考えてもらえたらすごく心強いんだ」
思いやりと本音のバランスが、家族の心を動かすカギになります。正直に感情を伝えることで今まで伝わっていなかった部分が伝わって楽になれたりします。
まとめ

兄弟姉妹との介護の話し合いは、避けたいけれど避けてはいけない大切なステップです。
少しの工夫と誠実な話し方で、トラブルを未然に防ぐことができます。
今日からできること
- 「今すぐじゃないけど…」の前置きで話すハードルを下げる
- 具体的な役割を提案形式で伝えてみる
- 「私は1人で抱え込まないよ」と最初に伝えておく
この3つの工夫があれば、「話してよかった」と思える関係性が築けます。
この記事を読んでいるあなたは、もしかすると「きょうだいに嫌がられるかも」と不安を感じているかもしれません。
でも、最初に動いたあなたは「家族を守る役目を自然に担える人」です。 無理をしない範囲で、小さな一歩を踏み出すこと。 その一歩が、親にとっても、兄弟姉妹にとっても、未来の自分にとっても、大きな安心を生むことになります。
介護は、1人では抱えられません。 だからこそ、「協力できる関係づくり」を今から始めていきましょう!